はじめての旅行医学:マラリアの予防内服

UpToDateやらCDCの旅行者向けサイトやら本邦の『マラリア予防ガイドライン』を参考に、主なものだけまとめてみました(毎度のことですが最新の情報を自ら確認して、自己責任で決めてください。あと、予防内服ってのは、あくまでDEET配合の虫除け剤やら蚊帳やらの予防策をとってるのが前提だからね!)

mefloquine

  • 1週間1錠
  • 渡航1週間前には内服しないといけない
  • 渡航後4週間内服しないといけない
  • 小児可(要確認)・妊婦不可(本来は可だが本邦未認可)・授乳不可
  • メファキン(R)錠275 275 mg 851.6円(5週間の渡航なら 8516円)

週1回内服で済むことがウケて、日本で最もポピュラーな予防内服。自衛隊も使ってる。副作用で稀に精神症状が出ることがあり、精神疾患や てんかん は禁忌となっている(これもあって米軍は使わなくなったみたい)。不整脈薬とか相性の悪い薬があるので注意。あと、東南アジアの奥地はじめ、メフロキン耐性が増えている。

atovaquone/proguanil

  • 1日1錠
  • 渡航前日からの内服でも大丈夫
  • 渡航後1週間内服すれば大丈夫
  • 小児可(要確認)・妊婦不可・授乳不可
  • マラロン(R)配合錠 498.1円/錠(5週間の渡航なら 21418円)

目立った副作用の報告がなく使いやすい(というより、まだ報告自体が少ないといったほうが正確かもしれない)。CDCの記載によると、サハラ以南に展開する米軍が第一選択にしているようだ(渡航後の内服期間が短いことが評価されたみたい)

doxycycline

  • 1日1錠
  • 渡航前日からの内服でも大丈夫
  • 渡航後4週間内服しないといけない
  • カンジダ食道潰瘍・膣炎や光線過敏症がある
  • 小児不可(歯牙着色)・妊婦不可(催奇形性)・授乳不可
  • ビブラマイシン(R)錠 100 mg 21.6円/錠(5週間の渡航なら 1382円)

貧乏人のためのマラリア予防、と言われている(らしい)。残念ながら、本邦ではマラリア予防としての適応はみとめられていないので自費・自己責任。米軍はサハラ以南以外なら上のアトバコン/プログアニルとともに第一選択としている(おそらく、安いから)。副作用は消化器症状などちらほらとあり、特に光線過敏症とか出てしまうと赤道直下ではやっかいそう。

ちなみに妊婦にはSP合剤が第一推奨みたいだけど、国内では認可されていません(上記の通りメフロキンも認可されていません)。

ケニア渡航にあたり、今回は(保険適用外ですが)ドキシサイクリンでのマラリア予防を試してみます。アドヒアランス悪いので飲み忘れが不安ですが…

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はじめての旅行医学:ワクチンのすヽめ

今回アフリカに行くにあたって「海外渡航のためのワクチン」(トラベラーズ・ワクチン)について調べてみたので、まとめておく(あくまで2017年7月時点の情報、参考までに。実際に打つときは担当医等とも相談の上、ご自信で責任をもって打ってください)

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ロードバイクに乗り始めた

ロードバイク乗りたいと言い出して早3年になるけど、ようやく買う決心をした。KOGAのA-LIMITEDっての買いました。

買った自転車。

完全にブランド名と、あと”あんまり持ってる人いない”っていう厨弐病で選んだけど、一応アルミだとハイエンドクラスってことにはなってるし、コンポーネントもシマノの105なのでレースに出られないこともないかな?少なくとも長く乗れるモノだとは思う。というか長く乗れないと困る…月給1カ月分飛んでるから

今月は派遣で勤め先が離れている(自転車で50分くらい)ので、可能な限り通勤をコイツにしようと思っている。乗ってみて意外だったのは「あれ?今まで乗ってた”なんちゃってクロスバイク”より重いな」ということ(本体だけで8.1 kgある)。それと「あれ?思ったほどスピード出ないな」ってこと(いまのところ20 km/hくらい)。慣れれば変わるんだろうか…

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道の駅めぐりをして思ったこと

車を持ってないにもかかわらず「北海道道の駅スタンプラリー」なるものを始めてしまったので、昨日レンタカーまで借りてニセコ・積丹まわりをぐるりとしてきた。1日半、33時間で639 km ― ペーパードライバーにしては頑張ったほうでしょう。

改めてこうして道の駅をいろいろ回っていると、意外と道の駅の品質管理がザルっていうか、施設の充実度がバラバラなんだなーと。今まで(特に実家のある関東で)行ってた道の駅といえば、まぁ軽食イートインコーナーやら農産物直売所やらあって、駐車場もしっかりしているところばかりで…もちろん北海道もそういった施設が多いのだけど、特に小さな自治体がお金をかけないで作ったところは(語弊があるかもしれないけれど)結構いい加減だなと。酷いところだと、地産の名物みたいなものすらほとんど置いていない(…単純に「ない」のかもしれないけれど)

そもそも道の駅の必須条件として、24時間使用可能な駐車場・トイレ・電話があること、っていうのがあるけれど、特にトイレはピンキリだなぁと思った。道の駅に隣接する公園の公衆トイレを道の駅のトイレとして使っていたり、さらには凄いボロボロのプレハブトイレみたいのだったり。いや、確かに「ある」という事実は事実なんだけれど、正直「これかー…」と思わなくもないトイレもしばしば。

誰が主導しているのかは知らないけれど、まぁ乱立しすぎなんだろうなぁ。

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Decadus Horribilis 1: 10年間の嵐のあと

創造的人生の持ち時間は10年だ。

これは、映画『風立ちぬ』の中でも最も印象に残るセリフだったんじゃないかと思う。おそらくは宮崎駿監督が半ば自分に言い聞かせるためにカプローニに喋らせたんだろうけれど、それは同時に観客、特に自分の青春がとっくに過ぎてしまったと感じる大人たちの心を深く抉り取るための言葉でもある。

私も、アカデミック(笑)なキャリアを志して10年が経ってしまった。とは言っても堀越二郎のような聡明さはないし、芸があるわけでもないし、コミュ障だし、動機付け弱いし、低いほうへと低いほうへと流されるままに…当然ながら「終わりはズタズタでしたが」

特に薬学部時代は、これ以上にダメになるだろうか?と自分でも思うくらい混迷を極めた。受け身な学生には厳しいラボで、見捨てられた私に渡されたのは先輩曰く「外れテーマ」。英語がちょっとできる!というのが唯一の自信だったのに、同じラボの同期にアメリカの大学院に進学(+後に現地で結婚)するほどぺらぺらな子がいて自尊心はボロボロ。このまま手元のテーマをやっていても将来性が見えず、最後の頃は完全にうつ状態。業績の残骸は、辛うじて(先輩がお情けで名前を載せてくれた)学会発表の要旨集として見つけられるくらい。

医学部に移ってから、アルバイトで通い始めたラボでも、頭悪いのかテーマが合わないのか(たぶん両方)全然仕事ができなかった。結果として、1年近くかけた挙句に使えないゴミクズデータを残すという、本当に給料泥棒みたいなことをやらかした。それでも、上司が同情心から論文のAcknowledgementに名前を載せてくれたのはこれまたお情けか…後日、後輩が同じラボに来てサクっと論文をまとめていったというのは以前のツイートまとめでもちょっと触れた通り。

そんなゴミクズにも3度目の正直というのはあるもので、交換留学先で所属した3つ目のラボでのデータは、なんとか学会でのポスター発表まで辿り着くことができた。とは言っても研究自体は先輩が進めたものだし、査読に耐えられる内容ではないし(注:学会のポスター発表は専門家による審査がない)、あまり大きな学会ではないし、なによりポスターの説明は私じゃなく先輩がやるし、ということで全く胸を張れる業績ではないのだけど。

いま、その発表のためにシアトルに来ている。きっと、もう学会発表なんて二度とすることはないだろうな…と思うと、どうしても自分の10年間は何だったんだろう?と考えてしまう。で、ふと「(生命科学系の)研究を漠然と志望して、つまづいてしまったエア後輩(=過去の自分)に、今の自分は何を伝えられるだろう?」と思い、こんな文章を書いてみることにした。5泊7日なので、全部で5つか6つくらいになるのではないかと。

ということで、初っ端からとりとめもない投稿だけど、最初のメッセージを強引にひねり出すなら「輝く研究者達の後ろに、失意のうちに去っていった学生・研究者がいっぱいいるんだよ」ということか。私に限らず、なんとなくいつかはノーベル賞も取れちゃう?みたいな夢を抱く厨二病患者は少なくないように思うのだけど、その目に映る華々しいキャリアはほんの一握りの成功例でしかない。実際には(どんな世界もそうだけど)勤勉さと聡明さだけじゃダメで、世渡り上手、家族や友人、ブーム、そして運といったものが全部揃わないと成功することはできない。少なくとも、ほんのささいな障害にひっかかって、気がついたときには立ち上がれなくなっていた学生たちも大勢いるんだということを、心に留めておいてもらえれば嬉しいなと思ったりするんです(そして念のために言っておけば、そこから立ち上がった人も大勢います)

それにしても、台風26号が直撃する直前のフライトなんて、本当に自分にぴったりだなと思った。普段は台風でフライトがキャンセルになった乗客へのインタビューなんてニヤニヤしながら見ているくせに、いざ自分の番になると、チキンなので大揺れの機内でビビりまくり。

でもこんな嵐の中でも、夜遅くまで(雨具も身につけずに!)働いてくださる方々のおかげで、無事に飛び立てたことに感謝です。

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