死からはじまる生、なんて飽きた。
『東大入試 至高の国語「第二問」』を読んだ。最初手に取ったときはすっごく感動したんだけど、最後の第5章が何かおかしい。なんとか話を大団円に持ち込もうとしたのか、論理の飛躍や議論のすり替わりが多くて混乱する。でもまぁ、それを考えに入れても非常に面白い本なのでオススメです。やっぱり東大の問題って、メッセージというか哲学のようなものがあって好き。
それはそうと、この本によれば東大の旧第二問では「死を主題とした文章が出題され続けてい」たという。これは本当だろうか、本当だとしても著者の言う通りの解釈でいいのか。第5章では「歴史に殉じることで、自己を獲得する」とか「自己を食わせよ」「食わせる(献身する)ことで実現される自己」とかいった表現がいっぱい出てくるのだけど、これがとてつもなく気持ち悪い。これじゃナチス・ドイツで国民を熱狂させたハイデガーの議論そのまんま、また「国のため」「人類のため」という名目ですぐ国家に足元を掬われかねないよ。
そもそも、死を意識して始めて生が輝くなんて、やっぱり陳腐だしチープだし、単純におかしいと思う。もっと違う回答はないのだろうか、淡々と日々を愛おしみながら生に集中する生き方は。
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