Stay hungry, stay foolish.

スティーブ・ジョブズの有名なスピーチといえば,2005年,スタンフォード大学の卒業式でのスピーチのものがよく知られている(らしい).ずっと見なきゃと思ってたそれを,さっきようやく見た.

スピーチとしては15分に満たない,決して長くないものなのだけど,確かにとても充溢したスピーチだった.話の内容が示唆に富むのはもちろんのこと,スピーチの巧さは素人目にも明らかで(原稿に目を落とさない,とかいう形式的なことではなく),文字通り舌を巻くような巧さだ.

話の内容としては,(1) 自分の思うところに従って生きろ(今は決して分からないが,後で振り返れば点と点は自然に繋がっているはずだ),(2) 自分の好きなことをやって生きろ(見つかってない奴は探し続けろ),(3) 限りある人生,「今日が人生最後の日だと思ったときに」本当にやりたいことだけをやって生きろ,という3点.結局は自分の好きなことをライフワークにしろって一言に尽きるかもしれないが,赤裸々な実体験も交え,率直かつ真摯に語りかける映像からは,その真実の「意味」が重みをもって迫ってきた.これは書籍などからは得られない,スピーチならではの体験だと思う(実際にライブでその場に立ち会った卒業生なら,なおさら強いインパクトがあったんじゃないだろうか?).

…さて,いまさらなぜこのスピーチを見たかというと,「カンブリア宮殿」で以前にアップル副社長だった,現マクド社長の原田泳幸さんを見たからだったりする.この方の話が,なにか一本の筋が通っているというか,ひとつの哲学に貫かれているのに感嘆したからなんだよね.

例えば,自分たちの仕事は何か(それは本当に本業にしたい or すべきことなのか),いかに新しいお客に来てもらうのか,お客の納得する価値に見合った価格とは何か,従業員はどう動機付けさせるのか,将来のために今なにをすべきか…というような思考の基準.こう書くと散漫なようだけど,そこには(うまく説明できないけど)なにか一貫したポリシーがあった.観客席に来た他業種の社長へアドバイスするコーナーでも,その軸は全くブレなかった.それを見ててビックリしたので「じゃあこの人のボスだったジョブズって,一体どんだけすごいのよ?」って改めて気になった次第なのだ(ちなみに原田さんは「ジョブズの好きなところは挙げられるけど,だからジョブズ(そのもの)が好きってのはおかしいでしょう」とカッコイイことを言っていた).

強引ではあるけど,この2人の話から私がぼんやり帰着したことは,やっぱり自分が何が好きでなのか,何が自分の軸なのかを考え,ブレないことが大事なんじゃないかということだった.将来を考えて,そのための最適なキャリア・パスを考えていく(はやりの)方法も悪くないのは確かだけど,同時に自分のコアが何であるか(=人生最後の1日にやりたいこと or ライフワーク)をはっきりさせておくことも大切だということだ.

来年の研究室配属を考えている中で,どちらも何かピンと参考に来る話だった.前者の映像はYoutubeにたくさん転がっているし,後者もわずかながらテキストを読めるので,興味がある方はぜひ見てみてほしいなぁと思う.

P.S.
蛇足ながら「点と点が繋がる」っていう話だけど,そういえばウェルカム財団の創設者であるヘンリー・ウェルカムも「僕のやりたいことは,今はジグソーパズルのピースのように頭の中に転がってるんだけど,これは少しずつ繋げていけるだろう」って言っている(おみやげで買ったポストカードに決め台詞で書いてあった).実は私は,普段から自分のキャリアパスに何か運命的な,壮大なストーリーのようなものを見いだそうと必死になってたりするんだけど,でもジョブズやウェルカムのほのめかすように,ある意味で自然に繋がっていくのを待って,どんどん好きなことに挑戦する姿勢の方が大切なのかなぁという気がした.

  • ̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj

コメント・トラックバック

この記事へのコメント・トラックバックはありません.

現在,この記事へのコメント・トラックバックは受け付けておりません.