首都圏スペシャルの番組構成を見て思ったことなど
NHKの首都圏スペシャル『あなたらしい老後と死は? 無縁社会の中で』を見たんだけど,番組として非常にうまく構成されていた.
まず掴みの映像,一人のお年寄りが実際に無くなっていく過程の実録が,端的ながらも衝撃的.なんとなく見ている人を一気に引き込む力がある.その後続いて,スタジオでのトークを挟みながら提示される取材映像も,みんな違った視点からの実態を,簡潔ながら強いインパクトをもって伝えてくる.さらには視聴者のツイートの紹介も,番組中盤までは対立する様々な意見を紹介しつつ,最後には穏健な意見で締めて,見事に大団円を作っている.なかなかの演出じゃない?
ただ,スタジオのトークは正直イマイチだったかな.ゲストの「専門家」は,なんだか市井の中高年でもいいそうな愚痴をを繰り返すばかりで,具体的な提案すら出なかったのは残念だった.竹下景子さんもどことなく無人称的で,なんとなく演技をしているかのようで微妙に思えた(まぁ,これは竹下さんのスタイルといえばそうなのだけど…).そもそも,ゲストの選び方があからさまに偏っていて,ちょっと番組の意図が露骨に出過ぎているか.
あとは,ツイッターの紹介についても,正直微妙だよなぁ…ってのは前々から思っていること.結局,所詮は“ツイート”に過ぎないというか,各人が勝手に意見を言っているだけで,全くディベートにならないんだよね.つまり,他者の意見を受けての斬り返しもなければ,当然何らかの合意形成や理解もない.今回も,番組の意図に賛同派と反対派の意見が交互に出てるだけで…まぁ,自分と違う意見に目を見開かされることもあるけれど,全体としては「で?」っていうところに終わってしまう気がした.
テレビ各局とも,近頃は積極的にツイッターやSNSを組み込もうとしていて,それはそれで一定の評価をしていいとは思うんだけど…なんというか,そもそもニュースに組み込むのは難しいメディアなんじゃないかって気がするなぁ.
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