生命科学系研究の入門書

『理系のアナタが知っておきたいラボ生活の中身』読了。理系といっても、対象は生命科学系に限られるのだけど、なかなかいい本なのでは?と思った。

欲張りすぎたがために筆が走っているところもあって、特に実験手技や方法論については、網羅的に紹介しようとしたあまり、かなりの紙面を割いているにもかかわらず記述不足感が否めない(実際に行うには省略されすぎているし、方法の利点欠点といった概観を掴むのにも微妙なところで、帯に短し襷に長しという印象)。けれど、だからこそどういう方法があるのかザーッと流し読むのには向いていると思う。何より方法論や研究論に終始せず、一科学者としての将来の展望や科学に対する考え方、さらには読む価値がある図書の紹介まで書いてあるところは非常にいいと思った。あたかも実際にボスのもとで、時には雑談を交えながら手技を習うところを疑似体験しているような気分になる。おそらくは研究室配属前のように、いままさにバイオ系の研究に飛び込もうとしている、けれど身近に信頼できるメンターがいない、というような学生にはピッタリの本だと思う。

こういうジャンルの本としては、以前から『アット・ザ・ベンチ』が定番になっているけれど、もうさすがに情報が古いと感じる部分もある。特に、この10年間の技術革新は目覚しい部分があって、久々に研究室の先生と話すとウラシマ状態になることが少なくない。そういう意味でも、この本は『アット・ザ・ベンチ』の代わりとはいかないまでも、一緒にあわせて読む価値はある本なのではないかと思った。

アット・ザ・ベンチ―バイオ研究完全指南 アップデート版
キャシー バーカー
メディカルサイエンスインターナショナル

しかし図書館に新書として入ってたから読んでみたんだけど、実はこれでも既に2年前の本なんだよね。しかも当面ラボに用はないってのに、なぜいまさら読んだのやら…

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